Tips & Tricks (更新: 2026/6/5)

エンジニアじゃなくても効く。職種別「あの作業」をAIに丸投げする方法

営業・サポート・事務・マーケ・ライター。職種ごとの“あるある面倒作業”を、非エンジニアでもコピペで試せるAI活用で1つずつ楽にする実践ガイド。

エンジニアじゃなくても効く。職種別「あの作業」をAIに丸投げする方法

金曜の夕方、隣の席の営業の同僚がため息をついていました。

「今週もらった名刺、30枚。これ全部Excelに打ち込んでから帰るの、つらすぎませんか」

僕は横から画面をのぞいて、こう言いました。「それ、打ち込まなくていいですよ」。

AIって、エンジニアが難しいプログラムを書くための道具——そう思っている人がまだ多い気がします。でも実際に効くのは、もっと地味なところです。毎日繰り返している、あの面倒な手作業。名刺の転記、問い合わせメールの仕分け、議事録の清書、商品説明文の量産。こういう「やりたくないけど誰かがやらないと終わらない作業」こそ、AIがいちばん得意なんです。

今日は職種別に、「あの作業」を1つずつAIに渡す話をします。コードはほとんど出てきません。出てきても、コピペして名前を変えるだけのものだけです。

そもそも、非エンジニアでも何ができるの?

まず誤解をほどきます。AIに仕事を頼むのに、プログラミングの知識はいりません。

イメージとしては、めちゃくちゃ物覚えのいい新人バイトです。日本語で「これお願い」と言えば、だいたいやってくれる。Excelの関数を組むのも、文章を整えるのも、バラバラのデータを表にそろえるのも。ただし、新人なので「何を、どこまで、どういう形で」を最初にちゃんと伝えないと、見当違いの仕事をしてきます。そこだけがコツです。

この記事では2つの道具を前提に話します。ひとつは ChatGPTやClaudeのチャット画面。これは誰でもすぐ使えます。もうひとつが Claude Code という、ファイルを直接読み書きできるタイプのAIです。後者は名前に「Code」と付いていて身構えますが、やることは「フォルダの中のファイルを見て、整えて、保存する」係だと思ってください。コードを書く専門家ではなく、パソコン作業の代行係です。

公式の説明は Anthropicのドキュメント にあります。英語ですが、雰囲気だけ眺めておくと安心です。

ここからは職種別に、「効く場面」を見ていきます。

効く場面その1:営業 ―― 名刺とメールの“転記地獄”から抜ける

冒頭の名刺の話です。営業をやっていると、もらった名刺やメール署名を顧客リストに転記する作業がついて回ります。1枚2分でも、30枚なら1時間。地味に夜を奪われます。

これ、AIに「テキストを表に変換して」と頼むだけで終わります。名刺アプリで読み取ったテキストでも、メール末尾の署名をコピペしたものでもいい。バラバラの文章を、きれいな表の1行に変えてもらうんです。

たとえばチャットにこう貼ります。

次のテキストから、会社名・氏名・部署・役職・メール・電話を抜き出して、
CSV1行にしてください。見出し行はいりません。項目が無ければ空欄にして。

株式会社サンプル商事 営業部 課長
山田 太郎
y.yamada@example.co.jp / 03-1234-5678

返ってくるのは 株式会社サンプル商事,山田 太郎,営業部,課長,y.yamada@example.co.jp,03-1234-5678 の1行。これをスプレッドシートに貼れば終わりです。10枚分まとめて貼れば、10行いっぺんに出てきます。

もう一歩進めて、メールの下書きまで任せられます。「この相手に、先日の展示会のお礼メールを、堅すぎず丁寧に」と頼めば、たたき台が3秒で出ます。ゼロから書くのと、出てきた文を直すのとでは、かかる時間が全然ちがう。営業のメール自動化をもっと本格的にやる話は Claude Codeでメール自動化 にまとめています。

効く場面その2:カスタマーサポート ―― 問い合わせの“仕分け”を先回りさせる

サポートの朝は、たまった問い合わせを開いて「これは返金」「これはバグ報告」「これは営業案件」と振り分けるところから始まります。1件1件読んで分類するの、地味に脳が疲れますよね。

AIは、この「読んで分類する」が本当に得意です。問い合わせ文を渡して、「種別」「緊急度」「一次回答のたたき台」をまとめて出してもらう。サポート担当は、出てきた仕分けを確認して、返信を整えるだけになります。

ただし、サポートで大事なのはここから。AIの返信を、そのままお客さんに送らせてはいけません。あくまで下書き。最後に人間が目を通して送る。この一線だけは守ってください(理由は後の失敗談で痛い目を見ます)。

「過去のよくある質問と回答」をいくつかAIに見せておくと、自社のトーンに寄った返信を書いてくれます。「うちはお客様じゃなくて“ご利用者さま”と呼ぶ」みたいな細かいルールも、最初に伝えれば守ってくれますよ。

効く場面その3:事務 ―― 30個のExcelを1つにまとめる

事務職の人から一番よく聞くのが、「複数ファイルの集計」です。支店ごと・月ごとにバラバラのCSVやExcelが30個あって、それを1つの表にまとめて合計を出す。手作業だとコピペの嵐で、1個ずれただけで数字が合わなくなる。

これはClaude Codeの出番です。フォルダごと渡して「この中のCSVを全部読んで、1つにまとめて、支店別の合計も出して」と日本語で頼むだけ。ファイルが30個でも300個でも、待ち時間はほぼ同じです。

「でも自分のPCで動かすの難しそう」と思うかもしれません。試すだけなら、こんな1ファイルのスクリプトをチャットのAIに作ってもらう手もあります。下は「同じフォルダのCSVを全部足し合わせて1枚にする」だけの、超シンプルな例です。Pythonが入っていれば、ファイル名を merge.py で保存してダブルクリック相当で動きます。

# 同じフォルダにあるCSVを全部まとめて1枚にする(事務作業の“コピペ地獄”対策)
# 使い方: このファイルをCSVと同じフォルダに置いて実行するだけ
import csv, glob, os

rows = []
header = None
for path in glob.glob("*.csv"):
    if os.path.basename(path) == "まとめ.csv":
        continue  # 出力ファイル自身は読み飛ばす
    with open(path, encoding="utf-8-sig", newline="") as f:
        reader = csv.reader(f)
        head = next(reader, None)  # 1行目は見出しとみなす
        if header is None:
            header = head
        for row in reader:
            rows.append(row)

with open("まとめ.csv", "w", encoding="utf-8-sig", newline="") as f:
    writer = csv.writer(f)
    if header:
        writer.writerow(header)
    writer.writerows(rows)

print(f"{len(rows)}行をまとめ.csvに書き出しました")

意味が全部分からなくて大丈夫です。要は「フォルダ内のCSVを縦に積んで1枚にする」係。集計や条件分けまで本格的にやりたくなったら、Claude Codeでスプレッドシート連携を自動化する に実務向けの手順を書いています。

効く場面その4:マーケ・ライター ―― 量産と表記ゆれの番人

最後はマーケとライター。商品説明を20個、SNS投稿を1週間分、広告コピーを10案。「数を出す」仕事は、AIと相性が抜群です。

ただ、ここで多いのが「全部AIに書かせたら、似たような文章ばかりになった」という失敗。コツは、型と素材だけ自分で決めて、肉付けをAIにやらせること。「この商品の特徴3つ」「ターゲットは30代の共働き」「禁止ワードはこれ」とだけ渡して、表現の組み合わせを量産してもらう。人間は出てきた中から選ぶ係に回ります。

もうひとつ地味に効くのが、表記ゆれの統一。「ユーザ/ユーザー」「Web/ウェブ」「お問合せ/お問い合わせ」。原稿を貼って「うちの表記ルールはこう。直して」と頼めば、目視では見落とす揺れまで拾ってくれます。校正の最後のひと手間が、ぐっと軽くなります。

僕がやらかした失敗3つ

正直に書きます。最初の頃は、けっこう派手にコケました。

ひとつ目。サポートの返信をAIに自動送信させかけたこと。「もう下書き精度高いし、そのまま送っていいか」と魔が差した。テスト中、AIが返金条件を1つ読み違えて、本来お断りのケースに「返金いたします」と書いた下書きを作りました。送信ボタンを自動化してたら、そのままお客さんに届いていた。“送る”だけは絶対に人間の手に残す。これは骨身に染みました。

ふたつ目。頼み方がざっくりすぎたこと。事務の集計で「いい感じにまとめて」とだけ言ったら、合計の出し方も並び順もAIの気分任せになり、毎回ちがう表が出てきました。「支店名のA→Z順で、合計は一番下の行に」と完成形を具体的に言ったら、ピタッと安定した。“どういう形で欲しいか”を先に渡すだけで別物になります。

みっつ目。素材を渡さずに量産させたこと。商品説明を「魅力的に書いて」と丸投げしたら、どの商品も「高品質で使いやすい」みたいな、誰にでも当てはまる空っぽの文章になりました。スペック表とターゲット像を渡してからは、ちゃんと“その商品の顔”が出るようになった。AIは素材から料理する人で、素材を生み出す人ではない。ここを勘違いしていました。

始めるなら、ここから

いきなり「全部AIに任せる」を目指さないでください。挫折します。

選ぶのは、毎週やってる面倒な作業を1つだけ。名刺の転記、問い合わせの仕分け、ファイルの集計、表記の統一。どれか1つに絞る。そして、こう進めます。

  1. やってほしいことを、新人バイトに説明するつもりで書く(前提・素材・欲しい形)
  2. 最初の1回は、出てきた結果を必ず自分で確認する(いきなり信用しない)
  3. “送る・消す・お金が動く”操作だけは、自分の手に残す

この3つさえ守れば、大事故は起きません。まずは今日のメール1通分、名刺1枚分から試してみてください。

実際に試した結果

冒頭の営業の同僚は、あのあと名刺30枚をテキストに変換して、5分で顧客リストを作って帰りました。「定時って、こんなに早かったんですね」と笑っていたのが忘れられません。

僕自身も、職種ごとに1作業ずつ任せてみて、効果がはっきり出たのは「転記」「仕分け」「集計」の3つでした。共通点は、頭はそんなに使わないのに、手間と時間だけ食う作業だということ。逆に、相手の感情をくみ取る返信や、企画のアイデア出しは、AIに下書きさせても結局自分で大きく直しました。そこは人間の仕事として残る。

だから僕の結論はこうです。AIに渡すのは「面倒だけど頭は使わない作業」、自分に残すのは「判断と最後のひと押し」。この線引きさえできれば、職種を問わず、毎日の残業が1〜2時間は確実に減ります。

まとめ

AIは、エンジニアだけの道具じゃありません。営業の転記、サポートの仕分け、事務の集計、マーケの量産——どの職種にも「あの面倒な作業」があって、その多くはAIに渡せます。

大事なのは3つだけ。1つの作業から始める/欲しい形を具体的に伝える/“送る・消す・お金”は自分の手に残す。難しいプログラミングは要りません。今日もらった名刺1枚、たまった問い合わせ1件から、ぜひ試してみてください。

チームや部署ぐるみで「うちの仕事のどこをAIに任せられるか」を整理したくなったら、研修・相談ページ ものぞいてみてください。

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Masa

この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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