Claude CodeとDocker実践ガイド:Compose、Volume、CIまで安全に整える
Claude CodeでDocker開発環境、Compose、CIビルドを安全に作る実装ガイド。
Claude CodeにDockerを任せる前に決めること
Claude Codeに「Docker対応して」とだけ頼むと、動くけれどレビューしづらいDockerfileになりがちです。Dockerはアプリの実行環境を小さな箱として固定する仕組みです。箱の設計図がイメージ、実際に起動したものがコンテナ、ホストPCとデータを共有する置き場がボリューム、コンテナ同士が名前で通信する道がネットワークです。
初心者がつまずくのは、Dockerfileだけを見てしまうところです。実務ではDockerfile、docker-compose.yml、.dockerignore、環境変数、ヘルスチェック、CIでのビルド確認を1つの流れとして見ます。Claude Codeには、この流れを小さく分けて任せるのが安全です。
公式仕様は変わるので、作業時はDockerfile reference、Compose file reference、Docker build best practices、Docker Build GitHub Actionsを横に置きます。Claude Codeの使い方はClaude Code overviewも確認します。CI全体を整えるならClaude CodeでCI/CDパイプラインを構築、権限の境界はClaude Code権限設定ガイドも合わせて読むと判断が速くなります。
3つの実用ユースケース
Docker連携は「かっこいい開発環境」ではなく、再現性を買うためのものです。Claude Codeに任せる前に、どの問題を解くのかを明文化します。
| ユースケース | Dockerで固定するもの | Claude Codeに頼む作業 |
|---|---|---|
| 新メンバーのオンボーディング | Node.js、PostgreSQL、Redis、ポート、初期コマンド | docker compose upだけで動く構成を作る |
| 本番に近い不具合調査 | 環境変数、サービス名、ヘルスチェック、起動順 | ローカルと本番の差分を表にして潰す |
| PRごとの安全確認 | Dockerfile、lockfile、ビルドキャッシュ、CIログ | GitHub Actionsでイメージをビルドして壊れたら止める |
| 研修・引き継ぎ | コマンド、失敗時の見方、復旧手順 | CLAUDE.mdとREADMEに運用ルールを残す |
特に収益化しているサイトやSaaSでは、「自分のPCでは動いた」は事故の入口になります。商品ページ、問い合わせフォーム、決済、管理画面のどれかが壊れると売上に直結します。テンプレートから始めたい場合はClaudeCodeLabのプロダクトへ、チームのリポジトリに合わせてルール化したい場合はClaude Code研修・相談へつなげる導線を記事内にも残しておくと、読者の次の行動が自然になります。
Claude Codeへ渡すプロンプト
最初の依頼では、対象、作ってほしいファイル、禁止事項、検証方法をまとめます。ここを曖昧にすると、Claude Codeは「それっぽいDockerfile」を出しやすくなります。
このNode.js + TypeScript APIをDocker対応してください。
前提:
- パッケージマネージャーはpnpm
- アプリは3000番ポートで起動する
- GET /health が200を返す
- ローカル開発ではPostgreSQL 16とRedis 7を使う
作ってほしいもの:
- 本番用multi-stage Dockerfile
- ローカル開発用docker-compose.yml
- .dockerignore
- package.jsonに追加するDocker関連scripts
- GitHub Actionsでdocker buildだけ確認するworkflow
制約:
- 本番コンテナはrootユーザーで起動しない
- .envや秘密情報をイメージにCOPYしない
- volumeとnetworkの意図をREADME向けに説明する
- 最後に確認コマンドと失敗時の見方を書く
multi-stage buildは、ビルド用の箱と実行用の箱を分ける書き方です。TypeScriptのコンパイルやテストに必要な道具を本番イメージに入れず、実行に必要なファイルだけを残せます。コンテナをrootで動かさないのは、アプリに脆弱性があったときの被害範囲を小さくするためです。
コピペで始めるDockerfile
次の例は、src/index.tsをdist/index.jsへビルドするNode.js APIを想定しています。devステージはローカル用、runnerステージは本番用です。
# syntax=docker/dockerfile:1
FROM node:22-bookworm-slim AS base
ENV PNPM_HOME="/pnpm"
ENV PATH="$PNPM_HOME:$PATH"
WORKDIR /app
RUN corepack enable
FROM base AS dev
ENV NODE_ENV=development
COPY package.json pnpm-lock.yaml ./
RUN pnpm install --frozen-lockfile
COPY . .
CMD ["pnpm", "dev"]
FROM base AS deps
COPY package.json pnpm-lock.yaml ./
RUN pnpm install --frozen-lockfile
FROM deps AS build
COPY tsconfig.json ./
COPY src ./src
RUN pnpm build
FROM base AS prod-deps
ENV NODE_ENV=production
COPY package.json pnpm-lock.yaml ./
RUN pnpm install --frozen-lockfile --prod && pnpm store prune
FROM base AS runner
ENV NODE_ENV=production
RUN groupadd --system --gid 1001 nodejs \
&& useradd --system --uid 1001 --gid nodejs appuser
COPY --from=prod-deps --chown=appuser:nodejs /app/node_modules ./node_modules
COPY --from=build --chown=appuser:nodejs /app/dist ./dist
COPY --chown=appuser:nodejs package.json ./
USER appuser
EXPOSE 3000
HEALTHCHECK --interval=30s --timeout=3s --retries=3 CMD node -e "fetch('http://127.0.0.1:3000/health').then(r=>process.exit(r.ok?0:1)).catch(()=>process.exit(1))"
CMD ["node", "dist/index.js"]
Claude Codeにレビューさせるときは、「このDockerfileで秘密情報が入る可能性」「キャッシュが効かなくなるCOPY順」「本番イメージに不要なdevDependenciesが残る可能性」を見てもらいます。最初から完璧を狙うより、レビュー項目を固定して毎回同じ観点で直すほうが品質が安定します。
ComposeでVolumeとNetworkを理解する
Composeは複数コンテナをまとめて起動する設定です。ここではAPI、PostgreSQL、Redisを同じネットワークに置きます。apiからはpostgresやredisというサービス名で接続できます。これがDockerのネットワークです。
ボリュームはデータをコンテナの外に残す仕組みです。pgdataがないと、PostgreSQLコンテナを消したときにDBデータも消えます。api_node_modulesは、ホストPCのnode_modulesとコンテナ内のnode_modulesが混ざる事故を避けるために分けています。
services:
api:
build:
context: .
target: dev
command: pnpm dev
ports:
- "3000:3000"
environment:
NODE_ENV: development
DATABASE_URL: postgres://app:app@postgres:5432/app
REDIS_URL: redis://redis:6379
depends_on:
postgres:
condition: service_healthy
redis:
condition: service_healthy
volumes:
- .:/app
- api_node_modules:/app/node_modules
healthcheck:
test: ["CMD", "node", "-e", "fetch('http://127.0.0.1:3000/health').then(r=>process.exit(r.ok?0:1)).catch(()=>process.exit(1))"]
interval: 10s
timeout: 3s
retries: 5
postgres:
image: postgres:16-alpine
environment:
POSTGRES_USER: app
POSTGRES_PASSWORD: app
POSTGRES_DB: app
ports:
- "5432:5432"
volumes:
- pgdata:/var/lib/postgresql/data
healthcheck:
test: ["CMD-SHELL", "pg_isready -U app -d app"]
interval: 5s
timeout: 3s
retries: 10
redis:
image: redis:7-alpine
ports:
- "6379:6379"
healthcheck:
test: ["CMD", "redis-cli", "ping"]
interval: 5s
timeout: 3s
retries: 10
volumes:
pgdata:
api_node_modules:
depends_onは起動順を整える機能です。ただし、単にコンテナが起動しただけではDBが接続可能とは限りません。上の例ではcondition: service_healthyを使い、PostgreSQLとRedisのヘルスチェックが通ってからAPIを起動します。
.dockerignoreとpackage.json scripts
.dockerignoreはビルド時に送るファイルを減らすための設定です。ここに.envを入れ忘れると、秘密情報がイメージに入る危険があります。
.git
node_modules
dist
coverage
.env
.env.*
!.env.example
npm-debug.log*
pnpm-debug.log*
Dockerfile*
docker-compose*.yml
package.jsonには、チームが同じコマンドを使えるようにscriptsを残します。Claude Codeに「既存scriptsを壊さず追加して」と明示すると安全です。
{
"scripts": {
"dev": "tsx watch src/index.ts",
"build": "tsc -p tsconfig.json",
"start": "node dist/index.js",
"docker:dev": "docker compose up --build",
"docker:check": "bash scripts/docker-check.sh"
},
"dependencies": {
"@fastify/redis": "latest",
"fastify": "latest",
"pg": "latest"
},
"devDependencies": {
"tsx": "latest",
"typescript": "latest"
}
}
動作確認スクリプトを置く
手元の確認を毎回手打ちにすると、確認漏れが起きます。scripts/docker-check.shとして残しておくと、Claude CodeにもCIにも同じ検証手順を渡せます。
#!/usr/bin/env bash
set -euo pipefail
docker compose build api
docker compose up -d postgres redis api
cleanup() {
docker compose down
}
trap cleanup EXIT
for attempt in {1..30}; do
if curl -fsS http://127.0.0.1:3000/health >/dev/null; then
echo "healthcheck ok"
exit 0
fi
echo "waiting for api... ${attempt}/30"
sleep 2
done
docker compose logs api
exit 1
このスクリプトは、ビルド、起動、ヘルスチェック、失敗時ログ確認までを1本にまとめています。記事やREADMEにこのコマンドを載せると、読者もチームメンバーも同じ状態から検証できます。
CIではpushせずbuildだけ確認する
最初のPRでは、レジストリへpushする前に「Dockerfileが壊れていないか」だけを見ます。push、署名、脆弱性スキャン、SBOM生成は次の段階で足します。
name: docker-build
on:
pull_request:
push:
branches:
- main
jobs:
image:
runs-on: ubuntu-latest
permissions:
contents: read
packages: write
steps:
- uses: actions/checkout@v4
- uses: docker/setup-buildx-action@v3
- uses: docker/build-push-action@v7
with:
context: .
target: runner
push: false
tags: claude-code-docker-sample:${{ github.sha }}
cache-from: type=gha
cache-to: type=gha,mode=max
Claude Codeには「このworkflowはPRでpushしないか」「権限が過剰ではないか」「cacheが壊れたときにビルドできるか」をレビューさせます。CIの権限設計はClaude Codeセキュリティベストプラクティスにもつながる重要な観点です。
よくある失敗と落とし穴
1つ目は、.envをCOPYしてしまう事故です。Dockerイメージに秘密情報が入ると、レジストリやCIログ経由で漏れる可能性があります。.dockerignoreとCIのsecret管理をセットで確認します。
2つ目は、ホストPCのnode_modulesをコンテナにマウントして壊す事故です。macOS、Windows、Linuxでネイティブモジュールの中身が違うことがあります。api_node_modules:/app/node_modulesのように分けると安定します。
3つ目は、DBが起動する前にAPIが接続して落ちる事故です。depends_onだけで安心せず、DB側のhealthcheckとアプリ側のリトライを両方見ます。
4つ目は、本番コンテナをrootで動かすことです。小さなサンプルでは見逃されますが、実務では避けたい設定です。Claude Codeには「rootで動かしていない証拠をdiffから示して」と頼むとレビューしやすくなります。
5つ目は、Docker化しただけで本番と同じになったと誤解することです。CPU、メモリ、ネットワーク遅延、マネージドDB、TLS、ログ基盤はローカルComposeでは再現できません。Composeは「本番に近づける道具」であって「本番そのもの」ではありません。
このpitfallを避けるには、PR説明に「ローカルで証明できたこと」と「本番で別途確認すること」を分けて書かせます。Claude Codeにこの2列を出させるだけでも、Docker化を過信する事故はかなり減ります。
Claude Codeにレビューさせるチェックリスト
Docker対応を入れたPRでは、Claude Codeに「良さそうです」と言わせるだけでは足りません。確認観点を固定して、毎回同じ質問を投げます。たとえば「この差分で秘密情報がimageに入る経路はあるか」「build cacheが効きにくくなる行はあるか」「本番imageにdevDependenciesやテストファイルが残るか」「healthcheckが本当にアプリの依存先まで見ているか」を順番に聞きます。
さらに、Claude Codeの回答には証拠を求めます。「Dockerfileの何行目でnon-rootになっているか」「Composeのどのvolumeが何を守っているか」「CI workflowのどの設定でpushしないと言えるか」のように、ファイル名と設定名まで言わせると、人間のレビューがかなり速くなります。ここを曖昧にすると、記事を読んだ初心者はコードをコピーして終わりになり、実務で使うときに危険な差分を見逃します。
小さなチームでは、最後に1枚の運用メモを残すのも効果があります。開発者はdocker:devで起動する、DBを初期化したいときだけvolumeを消す、CIが落ちたらまずdocker:checkを手元で再現する、秘密情報は.env.exampleだけ共有する、という程度で十分です。このメモをCLAUDE.mdに入れておくと、次回Claude Codeに依頼したときも同じ前提で作業できます。
安全な開発ワークフロー
実務でおすすめする順番は、まずClaude Codeに既存リポジトリを読ませ、必要なruntime、ポート、DB、外部APIを書き出してもらうことです。次に.dockerignoreを先に作り、秘密情報が入らない状態を固定します。その後、開発用Compose、本番用Dockerfile、確認スクリプト、CIの順で足します。
各ステップの終わりに、必ず人間がgit diffを読みます。Claude Codeには「変更したファイル」「なぜ必要か」「確認したコマンド」「残ったリスク」を短く出させます。この形式はセッション引き継ぎテンプレートとも相性がよく、途中で作業者が変わっても迷いません。
初心者が最初に詰まるのは、Dockerの構文よりも「どこまでをコンテナに入れるか」です。最初から本番DB、決済、メール、画像変換、バッチ処理まで全部Composeに入れると、原因切り分けが難しくなります。まずはアプリ、DB、キャッシュの3つに絞り、外部SaaSは.env.exampleとモックで扱います。Claude Codeにも「今回は外部APIを本物につながない」と明示すると、秘密情報や課金事故を避けやすくなります。
Docker対応は、記事一本で終わる作業ではなく、チームの開発習慣を変える作業です。自分で進めるならプロダクト集のチェックリストを使い、チーム導入なら研修・相談でCLAUDE.md、権限、CI、レビュー項目までまとめて決めるのが現実的です。
実際に試した結果
実際に試した結果、Claude CodeにいきなりDockerfileを書かせるより、.dockerignore、Compose、ヘルスチェック、CI buildの順に小さく任せたほうが修正回数が減りました。特にnode_modules用volumeとDBのservice_healthy待ちを最初から入れると、初心者が詰まりやすい「起動したのに接続できない」「Windowsだけ動かない」という相談が減ります。Docker化の目的はコンテナを増やすことではなく、同じ確認手順で安全にリリースへ近づくことです。
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この記事を書いた人
Masa
Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。
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