Claude Codeバグ報告テンプレート: 曖昧な不具合を再現できる修正依頼に変える
Claude Codeに渡すバグ報告を、再現手順・ログ・期待結果・失敗テストまで含む実務テンプレートで整えます。
Claude Codeに「画面が壊れています」「テストが落ちます」とだけ渡すと、もっともありそうな修正に飛びつきます。早いように見えて、実際には原因の切り分け、検証コマンド、レビュー説明が不足し、同じバグを別の形で戻しやすくなります。
よいバグ報告は、モデルへの作文ではありません。人間の開発者にもClaude Codeにも同じように読める、再現可能な作業指示です。症状、期待結果、実際の結果、最小再現、ログ、環境、触ってよい範囲、最後に作るべき失敗テストまでそろえると、Claude Codeは「推測で直す」状態から「事実を確認して直す」状態に変わります。
この記事は、初回タスク実行ガイドの次に使うデバッグ用テンプレートです。深い調査はClaude Codeデバッグ技術へ、修正後のレビューはPR品質チェックへつなげてください。公式情報としては、Claude CodeのCLIリファレンス、コマンド一覧、よくあるワークフロー、GitHub Actions連携を確認しておくと、--verbose、/debug、/feedback、PR連携の使い分けが明確になります。
バグ報告に必ず入れる項目
Claude Code向けのバグ報告は、長文である必要はありません。ただし、次の情報は省かないでください。
| 項目 | 書く内容 | Claude Codeが判断できること |
|---|---|---|
| 症状 | 何が、どの画面・コマンド・APIで起きたか | 調査対象の入口 |
| 期待結果 | 本来どう動くべきか | 修正の成功条件 |
| 実際の結果 | エラー文、HTTPステータス、崩れ方 | 事実と推測の分離 |
| 再現手順 | 3分以内に再現できる最小手順 | 原因候補の検証方法 |
| 環境 | OS、Node、ブラウザ、ブランチ、設定 | ローカル差分の影響 |
| 証拠 | ログ、スクリーンショット、失敗テスト | 修正前後の比較 |
| 制約 | 触ってよいファイル、触らないファイル | 余計なリファクタの防止 |
| 引き継ぎ | PR本文に書く根本原因、検証、残リスク | レビュー時間の短縮 |
初心者が一番つまずくのは「期待結果」を書かないことです。「エラーを消す」だけでは、空配列を返すのか、400を返すのか、UIに警告を出すのか判断できません。期待結果は、仕様書のように完璧でなくても構いません。「モバイル幅ではCTAが縦に並び、横スクロールが出ない」のように、目で確認できる一文にします。
コピペ用バグ報告テンプレート
次のテンプレートをbug-report.mdとして保存し、空欄を埋めてからClaude Codeに渡してください。
# Bug report for Claude Code
## 目的
- 直したい不具合:
- 今回のゴール:
- 今回はやらないこと:
## 環境
- OS:
- Node / package manager:
- Browser / device:
- Branch:
- 関連するenv名(値は書かない):
## 症状
- どこで起きるか:
- 誰が見る問題か:
- 発生頻度: 毎回 / ときどき / 不明
## 期待結果
-
## 実際の結果
-
## 最小再現手順
1.
2.
3.
## 証拠
- エラーメッセージ:
- ログ:
- スクリーンショット:
- 失敗しているコマンド:
## 最近の変更
- PR / commit:
- 変更された可能性が高いファイル:
## 制約
- 触ってよい範囲:
- 触らない範囲:
- 秘密情報や顧客データは貼らない:
## Claude Codeへの依頼
1. すぐ修正せず、原因候補を3つ挙げる
2. それぞれの候補を否定できる最小の確認手順を出す
3. 最小再現または失敗テストを先に作る
4. 最小差分で修正する
5. 実行した検証コマンドと残リスクを報告する
このテンプレートは、社内チケットにもPRコメントにも使えます。重要なのは、Claude Codeに「どのファイルを編集するか」より先に「何をもって直ったとみなすか」を渡すことです。
再現情報を集めるスクリプト
手作業で環境情報を集めると、ブランチ名、Nodeバージョン、直近差分を抜かしがちです。以下のスクリプトはNode.jsだけで動き、秘密情報らしい値をマスクしながら、Claude Codeへ渡す文脈をまとめます。
// scripts/collect-bug-context.mjs
import { execFileSync } from "node:child_process";
import { existsSync, readFileSync } from "node:fs";
import { platform, release } from "node:os";
import { cwd } from "node:process";
function run(command, args) {
try {
return execFileSync(command, args, {
cwd: cwd(),
encoding: "utf8",
stdio: ["ignore", "pipe", "pipe"],
}).trim();
} catch (error) {
return `(failed: ${command} ${args.join(" ")})`;
}
}
function maskSecrets(text) {
return text
.replace(/(api[_-]?key|token|secret|password)=([^\\s]+)/gi, "$1=***")
.replace(/Bearer\\s+[A-Za-z0-9._-]+/g, "Bearer ***");
}
function readPackageScripts() {
if (!existsSync("package.json")) return "package.json not found";
const pkg = JSON.parse(readFileSync("package.json", "utf8"));
return JSON.stringify(pkg.scripts ?? {}, null, 2);
}
const report = {
generatedAt: new Date().toISOString(),
cwd: cwd(),
os: `${platform()} ${release()}`,
node: process.version,
branch: run("git", ["branch", "--show-current"]),
status: run("git", ["status", "--short"]),
lastCommit: run("git", ["log", "-1", "--oneline"]),
diffStat: run("git", ["diff", "--stat"]),
packageScripts: readPackageScripts(),
};
console.log(maskSecrets(JSON.stringify(report, null, 2)));
使い方は次の通りです。
mkdir -p scripts
# 上のコードを scripts/collect-bug-context.mjs に保存
node scripts/collect-bug-context.mjs > bug-context.json
この出力をそのまま貼るだけでも、Claude Codeは「今どのブランチで、どの差分があり、どの検証コマンドが存在するか」を把握しやすくなります。ただし、マスク処理は保険です。APIキー、顧客データ、本番ログの全文は貼らず、必要な行だけに絞ってください。
ユースケース1: モバイルでCTAがはみ出す
悪い報告は「スマホ表示が崩れています」です。これでは、画面幅、URL、崩れた要素、期待する並びが分かりません。
よい報告は次のようになります。
症状:
/products/ を390px幅で開くと、pricing CTAの右端が画面外にはみ出す。
期待結果:
2つのCTAは縦に並び、横スクロールは出ない。
最小再現:
1. Chrome DevToolsで幅390pxにする
2. /products/ を開く
3. pricing sectionまでスクロールする
証拠:
document.documentElement.scrollWidth が 412
スクリーンショットあり
制約:
商品リンクと文言は変えない。CSSとレイアウトだけ確認する。
ここまで書くと、Claude CodeはCSSの幅、gap、ボタン文言、親コンテナを確認できます。修正後は、PC幅だけでなく390pxと768pxでも確認するように頼みます。広告や商品導線のあるページでは、CTAが直ったかだけでなく、productsページやtrainingページへの導線が残っているかも検証対象にします。
ユースケース2: APIが500を返す
APIの不具合では、HTTPステータスとログの一部だけでは足りません。入力ペイロード、期待レスポンス、最近変えた設定、環境変数名が必要です。
症状:
POST /api/checkout が plan=pro のときだけ500を返す。
期待結果:
200と決済URLを返す。設定不足なら500ではなく設定エラーとして検知したい。
実際の結果:
TypeError: Cannot read properties of undefined (reading 'prices')
最小再現:
curl -X POST http://localhost:3000/api/checkout \
-H "content-type: application/json" \
-d '{"plan":"pro"}'
環境:
STRIPE_SECRET_KEY と PRICE_PRO_ID を使う。値は貼らない。
制約:
決済プロバイダの実通信は増やさない。まず設定読み込みと入力検証を確認する。
このケースでは「直してください」ではなく「先に設定読み込み、入力検証、価格IDマッピングの3候補を比較してください」と依頼します。Claude Codeがすぐ外部サービスの呼び出し部分を変え始めたら止めます。最小再現がローカルのcurlで済むなら、失敗テストもAPIハンドラか設定モジュールの単体テストで作れます。
ユースケース3: 日付境界でテストが落ちる
タイムゾーンや月末のバグは、スクリーンショットより失敗テストの方が強い証拠になります。
import { describe, expect, it } from "vitest";
import { exportMonthlyOrderIds } from "../src/export-orders";
describe("exportMonthlyOrderIds", () => {
it("includes March orders and excludes April 1 UTC", () => {
const orders = [
{ id: "mar-start", createdAt: "2026-03-01T00:00:00.000Z" },
{ id: "mar-end", createdAt: "2026-03-31T23:59:59.999Z" },
{ id: "apr-start", createdAt: "2026-04-01T00:00:00.000Z" },
];
expect(exportMonthlyOrderIds(orders, "2026-03")).toEqual(["mar-start", "mar-end"]);
});
});
Claude Codeには「このテストを先に失敗させ、ローカルタイムゾーンに依存しない実装に直してください」と頼みます。ここでの落とし穴は、UIの日付表示だけを直して、集計ロジックの境界を放置することです。失敗テストがあれば、修正後のPRでレビュー担当者も根本原因を追いやすくなります。
最小再現を作る順番
最小再現とは、バグを起こすために必要な条件だけを残した小さな実験です。初心者は「本番と同じ状態を全部再現しないと意味がない」と考えがちですが、実務では逆です。不要な画面、不要なデータ、不要な外部通信を外すほど、Claude Codeは原因候補を狭めやすくなります。
最初に決めるのは、どの層で再現するかです。UIだけで起きるならブラウザ幅、DOM、CSSを見ます。APIで起きるならcurlやハンドラの単体テストに落とします。日付、金額、権限のように純粋なロジックで起きるなら、関数の入力と出力だけに切り出します。この切り分けをしないまま全体のE2Eだけを渡すと、Claude Codeはネットワーク、認証、表示、状態管理を同時に疑うため、差分が大きくなります。
次に、外部サービスを一度外します。決済、メール、検索、LLM APIなどは、実通信ではなく固定レスポンスに置き換えます。これは「ごまかす」ためではありません。バグが自分のコードにあるのか、外部レスポンスの変化にあるのかを分けるためです。外部サービスそのものが原因候補なら、最後に統合テストや手動確認で戻します。
三つ目に、入力データを削ります。100件の注文データでしか再現しないように見えるバグでも、本当に必要なのは「月末の1件」と「翌月1日の1件」だけかもしれません。空文字、null、境界値、タイムゾーン、権限なしユーザーのような条件を残し、それ以外は削ります。この作業をClaude Codeに頼む場合は「最小再現に必要なデータだけ残し、削った条件を列挙してください」と依頼すると、後でレビューしやすくなります。
最後に、失敗を固定します。自動テストが作れるなら先に失敗させます。作れない場合でも、再現コマンド、画面幅、入力値、期待結果を固定します。「たまに起きる」バグは、時計、乱数、キャッシュ、リトライ、並列実行のどれかが関係することが多いです。Claude Codeに「不安定さを隠す修正ではなく、なぜ不安定に見えるのかを説明してから直してください」と伝えると、待ち時間を増やすだけの修正を避けやすくなります。
初心者向けの書き方ルール
バグ報告は丁寧な文章より、曖昧さの少なさが大切です。「おかしい」「変」「うまくいかない」は、症状として弱い言葉です。「390pxで横スクロールが出る」「POSTが500を返す」「3月31日の注文がCSVに含まれない」のように、観測できる形で書きます。
専門用語を使う場合は、初出で言い換えます。たとえばminimum reproductionは「最小再現」、regression testは「同じバグを戻さないためのテスト」、handoffは「次の担当者が迷わない引き継ぎ」と書きます。Claude Codeには英語の用語も通じますが、チームの人間が読むPRでは日本語の補足が効きます。
また、秘密情報を貼らないルールは必ず明記します。APIキー、Cookie、顧客メールアドレス、決済IDの全文は不要です。必要なのは「どの環境変数名を使っているか」「どのリクエストID周辺で失敗したか」「どの入力条件で再現したか」です。証拠を増やすほど良いのではなく、安全に共有できる証拠だけを残します。
Claude Codeの出力をレビューする観点
Claude Codeが修正案を出したら、すぐに採用せず、バグ報告の項目に戻って照合します。期待結果に対して本当に直ったか、実際の結果が消えた理由を説明できるか、失敗テストが成功に変わったか、制約外のファイルを触っていないかを確認します。ここで「ビルドが通ったからOK」にすると、仕様を満たしていない修正を見逃します。
レビューでは、差分の大きさも見ます。原因が入力検証1箇所なのに、UI、API、型定義、文言、設定ファイルが一気に変わっているなら、Claude Codeに「根本原因に必要な変更だけに縮めてください」と戻します。逆に、修正が小さすぎて失敗テストやPR説明がない場合は、「同じバグを防ぐ証拠を追加してください」と頼みます。
PRに渡す前には、読者をレビュー担当者に置き換えて確認します。その人は、このバグがなぜ起きたかを知りません。再現手順、根本原因、検証コマンド、残リスクがPR本文にそろっていれば、レビューはコードの妥当性に集中できます。そろっていなければ、レビューは調査のやり直しになります。
Claude Codeへ渡す実行プロンプト
バグ報告を埋めたら、次のプロンプトで調査から始めます。
このbug-report.mdとbug-context.jsonを読んでください。
進め方:
1. まだ編集しない
2. 事実と推測を分ける
3. 原因候補を可能性順に3つ出す
4. 各候補を否定できる最小確認を提案する
5. 最小再現または失敗テストを先に作る
6. 承認後に最小差分で修正する
完了条件:
- 期待結果と実際の結果の差が説明されている
- 失敗テストまたは再現コマンドが残っている
- 実行した検証コマンドが報告されている
- PR本文に貼れる根本原因、修正内容、残リスクがある
公式のよくあるワークフローでも、エラー、再現コマンド、再現手順、一貫して起きるかどうかを伝える重要性が示されています。/debugはClaude Code自体のセッションログ調査に役立ち、/feedbackまたは/bugはClaude Code製品へのフィードバックです。自分のアプリのバグ報告と、Claude Code本体の不具合報告は混ぜないようにしてください。
PR引き継ぎテンプレート
修正できたら、次の形でPR本文に残します。セッションhandoffテンプレートと同じ考え方で、次に読む人の調査時間を減らします。
## Root cause
-
## Fix
-
## Regression coverage
- Added failing test:
- Manual reproduction checked:
## Verification
- [ ] npm test
- [ ] npm run typecheck
- [ ] npm run build
- [ ] mobile / desktop visual check if UI changed
## Risk
-
## Claude Code notes
- Hypotheses rejected:
- Files intentionally not touched:
- Follow-up issue:
Claude CodeにPR作成まで任せる場合でも、この構成を先に渡すと説明が薄くなりにくいです。GitHub連携を使うチームは、公式のClaude Code GitHub Actionsを確認し、CI失敗時にClaudeへ何を渡すかをこのテンプレートに合わせると運用しやすくなります。
よくある落とし穴
1つ目は、複数のバグを1つの報告に詰め込むことです。ログイン、決済、レイアウトを同時に頼むと、Claude Codeは広い差分を作りがちです。1報告1症状に分けます。
2つ目は、ログを貼りすぎることです。全文ログはコンテキストを圧迫し、秘密情報のリスクもあります。エラー周辺の20行、リクエストID、再現コマンドに絞ります。
3つ目は、失敗テストなしで修正を終えることです。すべてのバグに自動テストが必要とは限りませんが、境界値、データ変換、API契約、権限判定はテスト化しやすい領域です。テスト戦略と合わせて読むと、どこまで自動化するか判断しやすくなります。
4つ目は、Claude Codeに「全部見て直して」と頼むことです。初心者ほど範囲を広げると安心しますが、実務では逆です。最小再現を作り、原因候補を捨て、狭い差分にします。
5つ目は、PR引き継ぎを省くことです。修正した本人とClaude Codeは経緯を知っていますが、レビュー担当者は知りません。根本原因、検証、残リスクがないPRは、後からもう一度調査されます。
収益導線も検証対象に入れる
ClaudeCodeLabのような記事サイトでは、バグ修正は本文だけの問題ではありません。CTAボタン、無料PDF、Gumroad商品、productsとtrainingへの導線が壊れると、記事の価値が収益につながりません。特にデバッグ記事の読者は、今まさに困っているため、実用テンプレートから教材や相談へ進む導線が自然である必要があります。
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実際に試した結果
実際に試した結果、曖昧な「直して」だけの依頼よりも、再現手順、期待結果、失敗テスト、PR引き継ぎを先に渡した依頼の方が、Claude Codeの差分は小さく、レビューで聞かれる質問も減りました。とくに効果が大きかったのは、最初に3つの原因候補を出させることです。外れた仮説を早く捨てられるため、修正そのものより前の調査品質が上がります。公開前には、この記事のテンプレートを使って本文、コードブロック、内部リンク、公式リンク、CTAを再確認してください。
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この記事を書いた人
Masa
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